人的資本経営とは?注目を集める理由や実践するポイントを解説

経営の考え方として、人的資本経営を実践する企業が増えてきました。この記事では、人的資本経営の概要とともに、注目を集めるようになった理由を解説します。日本と海外の人的資本経営の取り組みの違いや3P・5Fモデルについても解説するため、ぜひ参考にしてください。

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人的資本経営とは

人的資本経営とは、人材を資本として捉える経営の考え方です。経営には資金や情報などの経営資源が必要であり、人材もその経営資源の一つとして捉えられてきました。しかし、昨今は人材の重要性に特に注目が集まるようになっています。

人的資本経営は人材の価値を最大限に引き出し、将来的な企業の価値を向上させることが狙いです。経済産業省も人的資本経営に言及しており、企業の取り組みを支援しています。

ISO30414とは

「ISO30414」とは、ISOが制定したマネジメントシステム規格であり、人的資本経営に関する情報開示のガイドラインです。ISOは「International Organization for Standardization」の頭文字を取ったもので、日本語に訳すと「国際標準化機構」となります。ISO30414により、世界中の企業の人的資本経営の状況を把握できるようになりました。

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人的資本経営が注目を集めた理由とは

ここでは、人的資本経営が注目されるようになった理由について解説します。

1. SDGsやESG経営への注目度が高まった

人的資本経営の背景には、SDGsやESG経営などへの注目が挙げられます。SDGsは、2015年9月に国連サミットで採択された持続可能な開発目標です。一方、ESG経営とは、環境、社会、企業統治を重視する経営の手法です。これらは、持続可能性を表すサステナビリティの考え方に含まれています。

企業がサステナビリティを重視して企業価値を高めるには、人材の価値も大切にする必要があります。

2. ISO30414が公開された

先述のとおり、ISO30414は人的資本の情報開示に関するガイドラインです。特に海外の企業では、ISO30414に基づく人的資本の情報開示が積極的に行われるようになりました。この動きを受けて、日本国内でもISO30414に基づく人的資本の情報開示に着手する企業が出てきています。

3. 無形資産の価値が高まった

企業価値は有形資産と無形資産によって決定されます。従来は有形資産が重視されていたものの、昨今のグローバル化の影響により無形資産の価値が高まってきました。無形資産を真似するのは簡単ではないため、独自の魅力として企業の競争力を強化できます。人材も無形資産の一つであり、重視する企業が増えています。

4. 人材版伊藤レポートが発表された

経済産業省は、人的資本経営に関する報告書として「人材版伊藤レポート」を公表しました。人的資本経営に関する取り組みを検討する研究会の内容がまとめられています。人材版伊藤レポートが発表されて以来、日本企業の人的資本経営に対する関心度が増しています。

日本と海外における人的資本経営の取り組みとは

日本と海外を比較すると、人的資本経営の取り組みに違いがあります。以下で詳しく解説します。

1. 日本の場合

日本では、人的資本経営について、経済産業省が2020年9月に人材版伊藤レポートを発表しています。2022年5月には内容をさらに深掘りした「人材版伊藤レポート2.0」を発表しました。

また、東京証券取引所と金融庁は2021年6月にコーポレートガバナンス・コードを改訂しました。コーポレートガバナンス・コードは、適切な意思決定を行うためのコーポレートガバナンスの原則をまとめたものです。

2. 海外の場合

海外においても、人的資本経営に関する取り組みが進んでいます。EUでは、ESGの情報開示に関するルール化も始まっています。

またアメリカでは、以前から人的資本経営に関する取り組みが積極的に推進され、上場企業に対しては、すでに人的資本の情報開示が義務化されました。

人的資本経営の実践に役立つ3P・5Fモデルとは

人的資本経営を推進するうえでは、3P・5Fモデルが役に立ちます。3Pは3つの視点、5Fは5つの要素です。以下で詳しく解説します。

視点1:経営戦略と人材戦略の連動

3P・5Fモデルでは、経営戦略と人材戦略の連動の重要性が示されています。経営戦略は、企業の今後に関わる重要な指標です。それに対して、人材戦略は、経営戦略のうちの人材に関わる指標をまとめたものです。長期にわたって企業価値を向上させるためには、経営戦略だけでなく人材戦略を策定して実行する必要があります。

視点2:As is - To beギャップの定量把握

人材戦略に取り組むうえでは、経営戦略と連動できているか確認することが大切です。そのためには、理想像と実際の姿の間にあるAs is - To beギャップを把握する必要があります。As is ‐ To beギャップをできるだけ定量的に把握すると、目標に対して具体的にどのような課題があるか明らかにできます。

視点3:企業文化への定着

人的資本経営を推進するためには、その考え方を企業文化として定着させることも重要です。企業文化は業務のなかで徐々に形成されることから、企業価値の向上を意識して日常的に取り組みを進める必要があります。あらかじめ自社の企業文化を定義したうえで定着を目指しましょう。

要素1:動的な人材ポートフォリオ

人材ポートフォリオとは、企業の人材の構成を表したものです。人的資本経営に取り組むうえでは、人材ポートフォリオをもとに組織内の人材のタイプ分けや配置などを確認する必要があります。将来的に確保すべき人材についても考慮し、中長期的な経営戦略や新しいビジネスモデルを実現するために必要な人材の質と量を最適化することが重要です。

要素2:知・経験のダイバーシティ&インクルージョン

ダイバーシティ&インクルージョンとは、それぞれの人の特徴を認めて尊重する考え方です。ビジネスを取り巻く環境の多様化が進んでおり、ダイバーシティ&インクルージョンの重要性が増しています。そのため、人的資本経営に取り組むうえでも、より幅広い観点からダイバーシティを実現していかなければなりません。

要素3:リスキル・学び直し

人的資本経営に取り組むうえでは、各人材のスキルや能力についても配慮が必要です。生産性向上や新しい価値の提供のために、企業が人材に新しいスキルや能力を学ばせることをリスキルと呼びます。単にスキルや能力を身につけるだけでなく、ビジネスに生かせるようにしたり専門性を高めたりすることがポイントです。

要素4:従業員エンゲージメント

従業員エンゲージメントとは、従業員が自社に対して持っている愛着のことです。従業員エンゲージメントが高い企業では、従業員が主体的に業務に取り組みやすくなります。そして、企業と従業員の意識がそろうため、同じ目線で成長を目指せます。そのためには、従業員がやりがいを感じて仕事に取り組める環境が求められます。

要素5:ときや場所に囚われない働き方

政府が推進する働き方改革により、時間や場所を問わない働き方に注目が集まるようになりました。このような働き方は、人的資本経営においても重要な要素です。人材が安心して働ける環境を提供し、より集中して効率的に仕事に取り組めるようにする必要があります。それを実現できれば、事業の継続もしやすくなります。

人的資本経営を実践するためのポイント

人的資本経営を実践するには、さまざまなポイントがあります。ここでは、ポイントをまとめて解説します。

1. 経営戦略と連動した人材戦略を実行する

経営戦略をもとに、それに関連する人材戦略を練って実行していきましょう。経営戦略と人材戦略の関連性は強いため、連動していなければ経営上の課題を解決できません。自社の具体的な課題を把握したうえで、経営戦略と人材戦略を絡めて検討することが大切です。

2. 企業理念と存在意義を明確に定義する

人的資本経営を実現するには、企業理念や企業の存在意義を定義することが大切です。企業理念や企業の存在意義が明確になっていれば、経営戦略の優先順位もつけやすくなります。自社にとって何が重要なのかはっきりしていると、経営戦略と人材戦略の足並みをそろえて実行できるようになるでしょう。

3. CHROを設置する

CHROとは、最高人事責任者のことです。「Chief Human Resource Officer」を略してCHROと表現しています。経営戦略と人材戦略をしっかり連動させるためには、CHROを設置して経営陣と人事が連携することが重要です。現時点でCHROを設置している日本企業はそれほど多くないものの、今後は重要なポジションとして認知されていくと考えられます。

まとめ

人的資本経営は、自社の価値向上やビジネスの発展のために重要な考え方です。日本でも注目度が高まっており、実際に取り組み始める企業が増えてきました。

AKKODiSでは、人的資本経営のコンサルティングを提供しています。「ISO30414」に沿った人的資本の情報開示だけでなく、経営戦略と連動した継続的な人材戦略をサポートします。自社のビジネスを強化するために、ぜひ相談してください。

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