共創で実現する次世代のDX推進リーダー育成

多くの企業でDX化が叫ばれる今、デジタル技術を活用して事業やサービスの在り方を変え、新しい価値を生み出せる人財の育成が急務となっています。DXを推進するリーダーをどう育てていくのか。株式会社NTTファシリティーズ 茂川哲也氏と、AKKODiSコンサルティング株式会社 石川大が語り合いました。

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業務変革や新サービス創出を可能に

石川大[以下、石川]:このたびはNTTファシリティーズ様が進める社内研修企画プロジェクト「F-DXファーム」の一環として、AKKODiSのDX開発人財育成プログラムをご利用いただきありがとうございました。今回の研修では、ローコード・ノーコードツールの理解を深め、Power Platformアプリケーション構築演習をしていただきました。まず最初に、弊社をパートナーに選んでいただいた決め手をお聞かせいただけますか。

茂川哲也氏[以下、茂川]:最大の決め手は、こちらが実施したいことを、ほぼすべて受け入れてくださったことです。当社が進めるF-DXファームに共感いただいた上で、カリキュラムの内容や開催時期、実施の回数などの細かい要望に対して、かなり柔軟にご対応いただけたことが大きかったと思っています。目的を達成できたのは、できる限りニーズにお応えしたいという御社の方々の強い想いがあったからこそ。結果から見ても、お任せして間違いなかったと感じています。

石川:ありがとうございます。対面でお聞きすると胸に刺さります。次に、NTTファシリティーズ様が考えるDX推進についてお伺いしたいと思います。

茂川:当社は“エンジニアリング=技術”に基づき、建物の設計や構築、維持管理に至るすべてのプロセスでソリューションを提供する企業です。近年は、増大する建築物のエネルギー削減に対応するカーボンニュートラルの提案や、デジタルサービス需要に対応したデータセンターの設計や構築など、社会課題の解決に資する事業を幅広く展開しています。そうした事業を通じて、パートナー企業様と共にファシリティそのものの価値の創造や向上をめざして、ICTやデジタル技術を積極的に活用したDXを推進しています。

石川:DXを推進する上で、どのようなリーダーの育成をお考えですか。

茂川:単にツールを使いこなして社内業務の効率化を図るだけでなく、業務を紐解いて改善点を見出すことができる。そうした目を持つことが非常に重要だと思っています。さらに、周りを巻き込みながら、蓄積したノウハウを社内全体に広げ、外部に提供することによって、業務そのものの変革や新サービスの提案まで体現できる。そんな次世代型リーダーの育成をめざしています。

開発まで完遂させるためのルールと仕組みづくり

石川:研修を企画する上で大変だったことはございますか。

茂川:現場の一人ひとりに対して、この研修プログラムの良さを伝えるのに非常に苦労しました。実は、今回担当したメンバーのほとんどが研修の企画・運営は未経験。研修の意義や目的を学ぶことから始めました。なおかつPower Platformは初めての体験。これで一体何ができるのか、本当に開発まで辿り着けるのか、社員の皆さんにも上司にもわからない状況でした。そのため、現場改善のアイデア持ち込み型の研修で開発まで完遂させるという理解を得ることが難しく、参加者を集めるのに非常に苦心しました。

石川:なるほど。研修の場合は費用対効果の説明が難しいですよね。そのほかにも注力されたポイントはございますか。

茂川:品質やセキュリティ、それから当社のシステムに影響を及ぼすことなく、自由に開発できる環境を整えていくことにも力を注ぎました。ルールづくり、研修の企画・運営、Power Platformの知識、この3本を事務局メンバーで行っていくことにも非常に苦労しました。

実は、似たような取り組みは既にNTTグループ各社でも行っているんです。しかし、開発のハードルを下げるために、ある程度自由が効くような制度設計を行うとか、ICTシステム部側に兼務の発令をして、そのなかで受講生が開発した内容を踏まえて評価まで行うとか、そこまで行っているような会社はほとんどないように思います。加えて、出来上がったアプリケーションが野良アプリにならないように、要件定義書も作成してもらい、開発者が異動・退職した後も組織内で引き継ぎができる仕組みまで整えたことも今回の大きなポイントです。

石川:各部門から有志の方が研修を受けられたわけですが、その方々の召集や稼働の工数などを、実際配属されている部門と茂川さんの部門で按分して管理される仕組みをつくられたということですよね。加えて、属人化を防ぎ、継続的な活用ができるようにされたことも特筆すべき点だと思います。

自走する組織がもたらす波及効果

石川:そもそも御社がF-DXファームに取り組まれたきっかけは何だったのでしょう。

茂川:発端はある社員の一言です。「現場で業務改善をしたい、そのためにExcelマクロを学びたい。ところが、日々の業務に追われて学ぶ時間もなければ、自身のスキルも足りていない」。ローコードやノーコードツールが登場する世の中になっているのに、「学びたい」「もっと良くしたい」という社員の想いを無駄にしているのはもったいないと感じたんです。

石川:素晴らしいですね。

茂川:当社の場合、どちらかというとセキュリティが高く、多くの情報を持つような大規模なシステムが多いので、ちょっとした現場環境の改善に役立つようなツールが十分に提供できていないことが課題でした。品質やセキュリティを非常に重視するが故に、「システム開発はハードルが高い」というイメージが浸透してしまっていたのですが、御社の講師の皆様の手厚いフォローのおかげで、安心して研修を進めることができました。

石川:それぞれ持ち込まれた課題に対して、部分的にでもソリューションを作ってお持ち帰りいただいたので、一定の成果が出たと感じていますがいかがですか。

茂川:今回の成果として、DXの牽引役となるアンバサダーを1期・2期を合わせて48名任命できました。座学から開発まで3.5カ月とかなり短い期間でしたが、1人1アプリの開発まで到達できました。画面のデザインも石川さんから「有料で販売しているアプリケーションレベルの完成度」だと言っていただけましたし、私から見てもシンプルでかっこいいと感じています。これだけの短期間でハイレベルな開発ができたのも、講師の皆様のマンツーマンの丁寧な指導があったからこそ。改めて感謝申し上げます。

石川:我々も成果発表会に参加させていただき、新しい学びがありました。個人的にすごいと感じたのは、1期の方が開発されたデータセンター内の電力を計算する電卓です。

茂川:データセンター手帳ですね。社内でも「この画面、いいね」と大変好評でした。

石川:専門知識の属人化を防ぎ、リードタイムもぎゅっと短縮できる。サービスレベルがものすごく上がるんじゃないかと期待しています。

デジタル化により業務の属人化を解消

茂川:単に自分が所属するチームの業務改善を行うだけでなく、複数メンバーで小さなアプリを作って、それを全体連携させていこうという動きもあって。もしかしたら現場発の業務システムができるのではないかという意見も出てきて、我々としてもビックリしています。ここまで広がるとは思いもよりませんでした。

石川:想像以上の成果が出ていてとても嬉しいです。参加者からの反応はいかがでしたか。

茂川:「プログラムに参加する機会が得られて良かった」「業務全体を見直すきっかけになった」「基幹システムと連携させたい」「社外ともつなげてプロジェクト全体の生産性向上を図りたい」等々、非常に嬉しい声がたくさん寄せられているので、ある意味社員の活性化につながったのかなと。

石川:皆様の積極性がよく表れていますね。

茂川:1期生が開発した24のアプリを24人しか使わないわけではなく、既に80人以上が使っているものや、正式なシステムとして全社展開されているものも出てきています。開発者だけでなく、利用者も愛着を持って利用していることも大きな収穫だと感じています。

石川:とても良い効果ですね。

茂川:システム設計やプロジェクトマネジメントは、建築業務との親和性が高いため、画面のデザインが優れていたり、現場を上手に巻き込んだり、完遂までのプロジェクトマネジメントもしっかりできたり。高いスキルを持っているメンバーが、実は建築業界にたくさんいることもわかりました。今まで我々が見えていなかった社員の皆さんの力が、こんなところにも発揮されるんだという力強さを感じて、大きな自信と勇気をもらいました。

石川:ちょっと鳥肌が立ってきました。本当に素晴らしいです!

茂川:他社でも若手にDXを学ばせたいという声をよく聞くのですが、今回のプログラムに関しては、むしろベテランの方が意欲的に参加されていた印象があります。

石川:ある方は追加でプライベートレッスンも希望されて「絶対完成させる!」と意気込みを語ってくださいました。職人さんが本気を出すとすごいんだなって。退職と共にブラックボックス化されがちなノウハウも、デジタル化することで皆が使えるようになる。企業の発展にも貢献できる部分が大きいと思います。

共創を通じて日本を課題解決先進国に

石川:今後、御社ではどのようにDXを推進されていく予定でしょうか。

茂川:来年度以降もDX人財の育成は強化していきたいと思っています。アプリケーションを使う中で「自分でもできるかも」と思っていただければ、また新たな開発につながる。良いサイクルを回すことによって、数年後には全社員がつくれる・使える状況にしていきたいと思っています。

石川:最後に、AKKODiSとの共創についてお話を伺いたいと思います。

茂川:まず、御社が掲げる「日本を、課題解決先進国に。」というビジョンに非常に共感しています。そうした想いや情熱が人を動かし、周りを動かし、やがて日本を変えていく。そんな風に思っています。御社は「IOWN推進室」を立ち上げられて、NTTグループとのつながりも非常に深い。先進的な技術に意欲的に取り組まれている姿勢は、我々と相通じるものがあると感じています。革新的な技術に果敢に挑戦し、日本の未来を支える社員を1人でも多く育てていきたい。御社と共に日本を元気にしていきたいと思っています。

石川:全社一丸となってDXに取り組み、新しい価値を生み出し、日本の成長を支えていくという使命感、素晴らしいです。今後ともパートナーとしてよろしくお願いします。本日はありがとうございました。

茂川:こちらこそありがとうございました。

F-DXファームとは

NTTファシリティーズ社員によるDXスキル向上のための研修プロジェクト。ローコード・ノーコードツールを活用して現場の業務改善を実現するために必要なツールを理解し、開発環境の整備から事務局運営までを社員が行った。参加者のスキルアップにとどまらず、DXを牽引するアンバサダー育成をめざしている。

座学よりも操作体験を、設計よりも実装を。

AKKODiSコンサルティングのDX開発人材育成プログラム

Power Platformの基礎知識の演習、資格取得対策をするとともに、ハンズオントレーニングで開発効率の向上を体感。具体的な設計・開発の伴奏支援を行うことで、IT活用よりも実際の課題解決に取り組みながらDXを推進する、リーダー育成を目的とした研修を提供しました。

  • 研修スケジュール例
    • PL-900 研修
    • Power Platform アプリケーション構築演習
    • ハッカソン演習
  • 開発支援スケジュール例
    • 要件定義演習
    • Power Platform アプリケーション構築演習
    • ヘルプデスク、プライベートレッスン

AKKODiS天王洲トレーニングセンター

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