国内企業3例目。『ISO30414』の認証を取得。
人的資本経営・開示で、日本企業の価値向上に貢献する。

 

#ISO30414 #人的資本経営 #自ら取得した経験 #コンサルティング

2022年11月、AKKODiSコンサルティング(以下、AKKODiS)は人的資本に関する情報開示ガイドライン『ISO30414』の認証を取得※いたしました。国内での取得は3例目です。今回は、この取得プロジェクトの中心人物として活躍し、異例のスピードでの取得を実現したBusinessコンサルティング部 シニアマネージャーにインタビューを実施しました。取得までのエピソードに加え、クライアントの『ISO30414』取得と人的資本経営・開示サポートに対する想いを語ります。

※認証取得時の社名はModis株式会社。2023年4月よりAKKODiSコンサルティング株式会社に社名変更。

「人的資本経営」の考え方や取り組みを広げていくため、
『ISO30414』の認証を取得。

AKKODiSはこれまで、「人財の育成と活躍」を重要要素として経営をしてきました。リーマンショック後の2011年に、経営戦略と人財戦略を連動させるべく抜本的な人事改革を実施。従業員が持つ知識や能力を「資本」とみなして投資対象とし、持続的な企業価値の向上につなげる経営である「人的資本経営」の基盤を築いてきた歴史を持ちます。

人的資本経営の考え方は、世界でも日本でも注目度が増している分野。当社も人財サービスのグローバルリーダーAdecco Groupの一員として、自社の人的資本経営の考え方や取り組みの実態を広く知ってもらいたいと考え、取りかかったのが、人的資本の情報開示に関する国際規格である『ISO30414』の認証の取得です。

これにより、社員や求職者の方々に「いかに従業員を大切にしているか」を伝えられることはもちろん、さまざまなステークホルダーへのアピールにもつなげられると考えています。また、人的資本情報を開示し客観的な視線を意識することで、自社における人的資本経営の実情をより詳細に把握しようとします。そうすることで、戦略と施策との連動性や社内制度などのさらなるブラッシュアップが期待できる、という点も取り組んだ理由のひとつ。開示と経営改善の好循環が生まれ、さらなる企業価値向上が期待できるのです。

実はこの取得の先には、もうひとつ見据えていたミッションがありました。それは、「人的資本経営と人的資本情報の開示※を実現したいクライアントの、心強いパートナー」になること。自ら『ISO30414』の認証を取得し、人的資本の情報開示の経験を積み、多種多様なクライアントにそのノウハウをお伝えしていく。そのために、企業の人事部が担当することが多い人的資本の情報開示業務を、コンサルティング事業部が担っていくことにしました。

※人的資本情報の開示:『ISO30414』の基準に準拠したHuman Capital Report(HCレポート)での開示や、2023年4月から法的に義務化された有価証券報告書による人的資本情報の開示など

一筋縄ではいかない、認証取得までの道のり。

STEP1はISO30414の理解・浸透体制の構築、STEP2はFIT&GAP分析、STEP3ではGAPへの対応HCレポート作成、STEP4ではHCレポート提出認証取得審査となります。

ISO30414認証取得までの全体像と作業内容

一般的に『ISO30414』の認証取得には、1年半〜2年ほどの期間がかかるとされています。しかしAKKODiSは、以前から人的資本経営に力を入れてきたこともあり、約8ヶ月という異例のスピードで認証の取得に漕ぎつくことができました。ただ、そのプロセスは簡単なものではなかったんです。

まず、『ISO30414』に規定されている58指標のデータが社内の複数部門に分散した状態で管理されていたため、その部署を突き止めるところからスタートしなければなりませんでした。人事部門だけでは完結できない指標も多く、ファイナンス部門やリーガル部門の方にデータ収集と提供をお願いする必要があったのです。また、協力を仰ぐにあたっては「そもそも『ISO30414』とは何なのか」、「何を目的としているのか」、「具体的にどんなデータがほしいのか」などをしっかり説明し、理解を得るステップも欠かせません。

当時の私はまだ入社後数ヶ月だったこともあり、十分なコネクションもないなかで部門をまたいだ調整は難しいタイミング。上長の協力を得ながら地道に社内の連携を進め、データの早期収集を実現していきました。また58の指標の中には、現状はまだ日本企業で集計しているケースがほとんどない「総労働力コスト」や「離職コスト」なども存在しています。こうしたデータを一元的にまとめた上での集計・検証は、大変な労力がかかりました。

魅力的なストーリー構築が、投資家や求職者の心をグッと掴む。

ここまでデータを集めて検証するだけでも、ものすごい時間と労力がかかりました。しかし次は、こうしたデータをもとに「従業員をいかに大切にしているか」をまとめたHCレポートを制作する必要があります。

したがって、まずは「こうした経営戦略に基づいた人事戦略があり、この戦略をもとにAという施策を実施しています」という定性的なストーリーを描き、さらに定量的なデータを用いて語っていく必要があるのです。こうした「どうストーリーを構成するか」「何を重点指標と捉えているか」などを考えることも、重要なプロセス。誰もが理解しやすく納得できるものをつくることを大切にしました。

こうして自社の『ISO30414』の認証を取得した後は、「ISO30414認証取得サポート」を含め、人的資本経営・開示の支援コンサルティングサービスの展開を始めました。すでにご依頼いただいたクライアントへの支援は開始していますが、その際にも「情報の伝え方」には特に気を使っています。

HCレポートは、中長期的な経営計画を達成するための人材戦略やそこから紐づく施策、その目標・実績値を記載しているので、投資家の方々の興味を引く材料になります。また求職者の方々は、組織風土や環境が把握できるHCレポートを転職先選定の判断材料にするため、その内容は採用活動にも多大な影響を及ぼすと考えています。
つまり、人的資本の情報開示は、その企業の未来を大きく左右する非常に責任の重いもの。取得自体がゴールではなく、「開示内容と人的資本経営のブラッシュアップの好循環が企業価値向上に結びつく」という視点を忘れてはなりません。

そしてこのストーリー構築にあたっては、経営層へのヒアリングも鍵を握ります。「経営層が人的資本経営や人財に対して、どういう想いを持っているのか」など、経営の根幹部分をうかがう過程で経営者としてのリアルな声が聞けるのは、この仕事の醍醐味のひとつかもしれないですね。

他社支援では「自ら取得した経験」がアドバンテージに。

クライアントの人的資本経営と人的資本情報の開示の支援コンサルティングサービスは、まだまだ始まったばかりです。しかしすでに、このサービスにおける「AKKODiSの強み」が見えてきました。それは「自社で認証の取得をした上で」支援をしているということです。

当社と同じように、『ISO30414』の認証取得を支援する企業は他にも複数存在しています。しかし、自社で認証を取得した上で他社支援を実施しているのは、当社を入れてもたった2社だけ(2023年5月時点)。実際に手を動かしたからこそわかるポイントや審査の詳細内容、適切な段取りといったすべてを把握した状態で伴走ができることは、コンサルティング会社として大きなアドバンテージとなるのです。

事実、現在サポートしているクライアントが当社を選んだ理由も「他社と比べて圧倒的に話している内容が濃く、信頼できるから」というものでした。自分自身が取り組んだときの反省点や改善ポイントなども考慮してクライアントへのサポートに反映しているので、やはり「自らがやった経験がある」ことは大きなセールスポイントになると感じています。

人的資本経営と情報開示の好循環で、日本をもっと元気にする。

現在こうした人的資本経営は、国も積極的に推進しています。それは、日本の国際競争力が著しく低下したから。「人に投資をし、大切に育てていくことで企業価値を向上させ、競争力につなげていく」という考えで人的資本経営に注目しているのです。

現在AKKODiSも日本の現状に危機感を覚え、「失われた30年を5年で取り戻す」、そして「日本を、課題解決先進国に。」というメッセージを掲げています。これを達成するためには、やはり人財の成長は必要不可欠です。そこで、私たちはこれからも各企業の人的資本経営を愚直に支援し、人的資本の情報開示を進めていきます。すると、必然的に人的資本経営と情報開示の好循環が生み出され、企業価値や競争力の向上へつながっていく。そして、各社の人的資本経営の好事例、はたまた失敗事例を参考に切磋琢磨していくことで、社会全体が元気になると考えているのです。

また今回お話しした『ISO30414』の認証取得は、人的資本情報の開示手段のひとつにすぎません。有価証券報告書や統合報告書などの開示も同様に企業価値向上の一端を担うため、『ISO30414』だけにしばられない多角的な視点が必要になります。この広い視点と経験を糧に、あらゆる企業に属する従業員の皆様をもっと元気にしていきたい。そして、多くの企業経営と日本を支えていきたい。私はそう考えています。

PROFILE

平野
事業統括本部コンサルティング事業本部Businessコンサルティング部 シニアマネージャー
ISO30414リードコンサルタント

人事コンサルタント経験を経て、2021年11月に入社。入社後、ISO30414の認証取得プロジェクトのメインメンバーとして活躍。ISO30414の認証取得直後より人的資本経営、開示(ISO30414認証取得を含む)を支援するコンサルティングをおこなっている。

  • インタビュー内容、所属は取材当時のものです。
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